濱田諭のブログ

2018/11/01

宅建業者向けセミナー(2018.10.24)の第2講座の内容と補足その1

 浜田です。    

 お約束通り、10月24日のセミナーの浜田担当パートの内容とその補足説明をしたいと思います。

 第2講座は「契約が終わって安心していませんか?媒介業務の本来あるべき姿を教えます」というテーマで私が担当したのですが、時間が押してしまい十分な説明が出来なかった面がありました。

 そこで何回かに分けて事例を取り上げた趣旨や補足説明をしたいと思います。  

 この講座で取り上げたのは

 1.媒介契約を交わしていないリスク

 2.問題のある媒介行為と媒介報酬

3.媒介業者の調査・説明義務違反に伴うリスク という3つのテーマです。  

 事例1−1及び事例1−2の素材ですが、東京地裁平成20年1月29日判決です。事例1−2は媒介契約書が作成されなくても媒介契約の成立およびそれに基づく報酬請求が認められた同判決の事例をベースにしたものです。  

 一方の事例1−1は事例1−2のベースになった東京地裁の判決が媒介契約成立を認定するにあたって特段の事情として拾った事実を削除したものになります。

事例1−1

「平成18年6月24日、所有者Aから中古住宅の売却仲介の委託を受けた仲介業者Xは,自社のホームページに売却物件(所有者A、売却価格3,830万円)を掲載した。Aは100万円以上の値引きはしないとXに名言していた。

 同月26日、買受希望者Yが「現地を見たい」と連絡して来たため、Xは現地案内し物件資料を提供した。同日にYが「3,600万円なら買う」と言ったがXは売主の想定外の金額だから無理だと言ったため、3700万円でなら購入するとの意向を示した。XはAを説得して同月28日、代金3,700万円でAとYの間で売買契約を成立させた。

 Yが売買契約書に署名捺印をする際、XはYに対し持参した専任媒介契約書に署名・捺印を求めたが、Yは「後で」と言って署名しなかった。

 後日、XがYに報酬請求をしたところ、Yは「Xは売主側の仲介業者でしょう?仲介を頼んだ覚えはない」と言って仲介報酬の支払いを拒んだ。XはYに対し仲介報酬を請求できるか。」

事例1−2

「Yが3700万円なら買うとXに告げた後に以下の事情があった場合はどうか?

 現地案内をした当日の帰途、Xの担当者乙はAに電話で3700万円での買受希望が出ている旨を告げてAより3700万円で売って構わないとの決済を得た。

 このことからYは乙と一緒にXの事務所に立ち寄り、Xの担当者乙がYに対し、販売価格が3700万円である不動産購入申込書を作成する必要があること、購入はXを通じての取引となるこので仲介手数料が必要であること、仲介手数料、登記費用等の諸費用概算書を交付した。

 Yは同日、不動産購入申込書(購入価格3700万円)をXに提出した。

 なお、この申込書には「私は、貴社より紹介を受けております後記表示の不動産を下記条件にて購入することを申し込みますので、貴社に交渉を依頼します。成約の際には、成約価格の3%+6万円の仲介手数料と消費税相当額を申し受けます。」との記載があった。」

 事例1−1のように契約書なし→契約不成立→報酬請求×というのが原則,事例1−2のような事例の場合には契約書なし→特段の事情あり→報酬請求○というケースもあるよという話です。  

 事例1−1と事例1−2を取り上げることでお伝えしたかったのは媒介契約書作成の重要性と契約書の作成をしていなくても媒介契約の成立を認定した事例があること、しかし契約書の作成なしに媒介契約の成立が認定されるのはハードルが高いことです。

 売却仲介の依頼を受けた業者がのちに買受側からも仲介を依頼された場合に(本来は「両手」となるべきケース)買受側から媒介契約書をとることができずに買受側に報酬請求できない(あるいは請求せずに諦めてしまう)という事例が見受けられますので、宅建業法34条の2の正確な理解と媒介契約書の役割について正確に理解していただくというのが、この事例を取り上げた理由になります。

まとめとしては

1.片手から入って相手方当事者からも仲介依頼を受けた場合にも速やかに媒介契約書を作成・交付をしてください。

2.作成・交付ができない場合にも、媒介依頼をしてきた相手方当事者に対して媒介契約書の作成の必要性の説明、報酬の説明、不動産購入申込書の作成をしてもらう等の付随事情がある場合には契約書の作成・交付がない場合にも契約の成立を認めて報酬請求を認めてケースがありますので、相手方当事者の契約書の作成に応じない場合にも最大限の努力をしてください。

というものでした。

それでは事例2以降については次のブログにてご説明いたします。 

                                               続く

(参照条文)

 宅建業法34条の2

 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。