濱田諭法律事務所のブログ

2016/06/17

拘置所接見室での写真撮影についての最高裁判決

 浜田です。

 最近、少し刑事弁護から遠ざかっているのですが実務上影響の大きい最高裁判決が出たのでリンクを貼ります。

 以下ーリンク先より長文引用 http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160616/k10010559001000.html

「弁護士が容疑者や被告と拘置所で接見する際に、撮影が認められるかどうかが争われた裁判で、最高裁判所は上告を退ける決定を出し、拘置所の判断で撮影を禁止できるとした判決が確定しました。

法務省は警備上の問題や、証拠隠滅のおそれなどを理由に、容疑者や被告と接見する際の撮影を認めていませんが、東京の弁護士は「接見する権利には撮影も含まれている」として国を訴えました。

1審の東京地方裁判所は「今回のケースでは逃亡や証拠隠滅のおそれが生じるとは認められず、撮影を理由に接見を中止したのは違法だ」として、国に10万円の賠償を命じました。

一方、2審の東京高等裁判所は「接見する権利に撮影は含まれず、拘置所は庁舎を管理する権限に基づいて、撮影を禁止することができる」として、1審の判決を取り消し、弁護士の訴えを退けました。

これに対して、弁護士は上告しましたが、最高裁判所第2小法廷の山本康幸裁判長は16日までに上告を退ける決定を出し、拘置所の判断で撮影を禁止できるとした判決が確定しました。」

ー引用終わり

 私自身は幸い、被疑者が捜査機関から取調べの際に暴行されて怪我をしたというケースに関わったことはないのですが、被疑者から自白を取るために苛烈な取り調べをするケースもあり被疑者に暴力を振るって怪我をさせるケースもあります。

 その際、被疑者の怪我の状況を撮影して証拠保全しておく必要があり、その為に拘置所の接見室で写真撮影してしまうというのが最も簡易・迅速な方法になります。刑事弁護人としては、被疑者の自白の任意性を争う手段としても有用なので、この手段を取ることが多いのではないでしょうか。

 今回の判決で刑事弁護人は、拘置所で写真撮影をする際に拘置所の禁止措置への対応を強いられる(しかも、それを争う手段を絶たれた)わけで大変になりますね。

(参考条文)刑事訴訟法

第39条

  1. 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあっては、第31条第2項の許可があった後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
  2. 前項の接見又は授受については、法令(裁判所の規則を含む。以下同じ。)で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐため必要な措置を規定することができる。
  3. 検察官、検察事務官又は司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)は、捜査のため必要があるときは、公訴の提起前に限り、第1項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定することができる。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するようなものであってはならない。

2016/06/09

親権喪失ー(宮崎の離婚弁護士)

 浜田です。

 離婚事件を多く扱っている方だと思うのですが、親権の停止、親権の喪失が問題となる事件を扱ったことはありません。

以下ーリンク先より引用 http://this.kiji.is/112959496274706435?c=39546741839462401

「九州地方の家庭裁判所が3月、乳児への予防接種を拒否した母親について児童相談所から「親権喪失」の審判申し立てを受け、「子どもの利益を侵害した」として認める決定をしていたことが7日、関係者への取材で分かった。家裁は、児相が昨年、母親の育児放棄(ネグレクト)により乳児を一時保護した経緯も重視。予防接種拒否の理由は医学・思想上の問題ではなく「児相職員への感情的反発」と認定した。」

ー引用終わり

 親権の停止ではなく親権の喪失ですから母親の行動がそれだけ問題視されたということだと思いますが、その後の子供の養育監護についてはどうなるのかなという疑問が・・・未成年後見人を選任することになるのかな。

 いずれにしても今回保護されたお子さん(乳児)が今後、きちんとした環境で養育・監護されることを願ってます。

(参照条文)民法

第834条

 父又は母による虐待又は悪意の遺棄があるときその他父又は母による親権の行使が著しく困難又は不適当であることにより子の利益を著しく害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権喪失の審判をすることができる。ただし、二年以内にその原因が消滅する見込みがあるときは、この限りでない。

第834条の2

  1. 父又は母による親権の行使が困難又は不適当であることにより子の利益を害するときは、家庭裁判所は、子、その親族、未成年後見人、未成年後見監督人又は検察官の請求により、その父又は母について、親権停止の審判をすることができる。
  2. 家庭裁判所は、親権停止の審判をするときは、その原因が消滅するまでに要すると見込まれる期間、子の心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮して、二年を超えない範囲内で、親権を停止する期間を定める。

2016/06/07

債務者口座の特定ー(宮崎の離婚弁護士)

 浜田です。

 久々の更新になってすいません。

 この仕事をやっていて良く感じるのが民事執行制度の不十分さです。

 せっかく相手方に対して訴訟を提起して〇〇〇万円を支払えとの勝訴判決をもらっても相手方に財産がなかったり、あるはずの財産を特定できなかったりして結局のところ回収できないというケースがかなり多いです。

 そして子供の養育費についてきちんと取り決めをして離婚していても(公正証書、調停等で)支払義務者が支払ってくれないというケースも良く見ます。

 そんな現状を一部打開できるかもしれない制度を裁判所が導入するかもしれないというニュースがこれ→http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160603-00050158-yom-soci

以下ー引用

「裁判などで確定した養育費や賠償金の不払いが横行していることから、法務省は、支払い義務を負った債務者の預貯金口座を裁判所を通じて特定できる新たな制度を導入する方針を固めた。

 強制執行を容易にするため、裁判所が金融機関に口座情報を照会して回答させる仕組みで、早ければ今秋にも法制審議会(法相の諮問機関)に民事執行法の改正を諮問する。不払いに苦しんできた離婚女性や犯罪被害者など多くの債権者の救済につながる可能性がある。」

ー引用おわり 

 このニュース、預貯金口座の特定について裁判所が協力してくれるかもしれないという意味では朗報なのですが、養育費のような継続的に発生する債権(未成年者の養育費は満20歳までとする例が多いので10年以上継続的に発生する場合もあります)については預貯金の特定よりも同じく継続的に発生する給与債権(支払い義務者が勤務先からもらう給与)を差し押さえるのが有効だと思います。

 ですので、養育費の回収を確実なものにするためにも債務者の勤務先を特定できる制度があればいいのにと思う次第です。