濱田諭のブログ

2018/11/02

宅建業者向けセミナー(2018.10.24)の第2講座の内容と補足その3

浜田です。引き続き第2講座で取り上げた事例の補足等です。ここでは事例3について取り上げます。

 事例3

「Xは平成14年3月16日にY1から宝塚市所在の本件土地建物を2,280万円で買い受ける旨の売買契約を締結し、同年5月に代金を支払って所有権を取得したが、その直後に、本件建物はその西側隣人Aとのトラブルによって居住の用に耐えないことが判明したとしてY1についてはXを欺罔した、Y2については説明義務に違反したとして損害賠償を求める訴訟を提起した。

 Xには妻と3歳の子がおり、本件土地建物に家族で住む予定での購入である。XのY2に対する請求は認められるか?」

 この事例は媒介業者の調査義務、説明義務の範囲、売主と買主に別々の宅建業者がついた事案における媒介業者の説明義務について説明するために実際の裁判例を事例として持ってきたものです。大阪高裁平成16年12月2日判決の事案を事例にしています。

 事案の結論としてはXのY2に対する請求は認められるというものになります。なお、この事案の地裁での判断はXのY2に対する請求は認めていません。

 この事案を解説するにあたり、説明義務の基準・範囲について触れました。意思決定に重大な影響を及ぼすものであれば、取引の動機・目的に関係するにすぎず、目的物には直接関係のない事項であっても、説明義務に含まれることになります。

 そして宅建業法35条については行政取締法としての意味のみならず私法上の規範性を持つこと、すなわち業者の債務の内容を決める基準として機能することについて触れました。

 そのうえで説明事項の認識・認識可能性の有無によって説明義務の有無が判断されること、説明義務については売買代金の残金決済時までの事項について説明義務があることについて触れました。これは説明義務の時的範囲というテーマでお話ししました。

 説明義務に先行して業者には調査義務があるわけですが、この調査義務について説明事項を知っているか、容易に知りうるかによって判断されることについて触れました。この点についてあまり時間がなくて説明不足になったと思いますので受講された方はスライドのフローを再度ご確認ください。

 売却仲介を受けたX2に対する損害賠償請求については認めなかった地裁と認めた高裁との判断枠組みをお伝えしました。

 隣人問題については調査が困難かつプライバシー侵害のおそれがあるので調査が難しいとの悩みが判断過程で明示されているのが地裁、そこには触れずに明らかに知っているのであればきちんと説明しなさい、かつ買受仲介業者に任せずに自分で説明しなさいと業者にとっては酷ともいえる判断をしているのが高裁になります。

 重要事項に該当する事実は、仮に買受仲介業者がいたとしても売却仲介業者が直接、買主に説明するのが無難ですねというのが事例3の結論になります。

 それではすでに申し込みを打ち切っております12月のセミナーで取り上げる相続法の改正の内容について次回以降、書いてみようと思います。