濱田諭のブログ

2018/12/03

民法の相続法改正部分の施行時期の決定について

 浜田です。

 今月の19日に開催予定の宅建業者向けのセミナーで民法の相続法改正を取り上げるのですが、改正法の施行時期が確定したようです。

 原則的な施行期日が西暦2019年7月1日から

 自筆証書遺言の方式を緩和する方策が2019年1月13日から

 配偶者居住権及び配偶者短期居住権の新設等が2020年4月1日から

ということです➡http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00237.html

 施行時期の確定により改正法の施行に向けた準備が本格的に必要になりそうですね。

 

 

 


2018/11/02

宅建業者向けセミナー(2018.10.24)の第2講座の内容と補足その3

浜田です。引き続き第2講座で取り上げた事例の補足等です。ここでは事例3について取り上げます。

 事例3

「Xは平成14年3月16日にY1から宝塚市所在の本件土地建物を2,280万円で買い受ける旨の売買契約を締結し、同年5月に代金を支払って所有権を取得したが、その直後に、本件建物はその西側隣人Aとのトラブルによって居住の用に耐えないことが判明したとしてY1についてはXを欺罔した、Y2については説明義務に違反したとして損害賠償を求める訴訟を提起した。

 Xには妻と3歳の子がおり、本件土地建物に家族で住む予定での購入である。XのY2に対する請求は認められるか?」

 この事例は媒介業者の調査義務、説明義務の範囲、売主と買主に別々の宅建業者がついた事案における媒介業者の説明義務について説明するために実際の裁判例を事例として持ってきたものです。大阪高裁平成16年12月2日判決の事案を事例にしています。

 事案の結論としてはXのY2に対する請求は認められるというものになります。なお、この事案の地裁での判断はXのY2に対する請求は認めていません。

 この事案を解説するにあたり、説明義務の基準・範囲について触れました。意思決定に重大な影響を及ぼすものであれば、取引の動機・目的に関係するにすぎず、目的物には直接関係のない事項であっても、説明義務に含まれることになります。

 そして宅建業法35条については行政取締法としての意味のみならず私法上の規範性を持つこと、すなわち業者の債務の内容を決める基準として機能することについて触れました。

 そのうえで説明事項の認識・認識可能性の有無によって説明義務の有無が判断されること、説明義務については売買代金の残金決済時までの事項について説明義務があることについて触れました。これは説明義務の時的範囲というテーマでお話ししました。

 説明義務に先行して業者には調査義務があるわけですが、この調査義務について説明事項を知っているか、容易に知りうるかによって判断されることについて触れました。この点についてあまり時間がなくて説明不足になったと思いますので受講された方はスライドのフローを再度ご確認ください。

 売却仲介を受けたX2に対する損害賠償請求については認めなかった地裁と認めた高裁との判断枠組みをお伝えしました。

 隣人問題については調査が困難かつプライバシー侵害のおそれがあるので調査が難しいとの悩みが判断過程で明示されているのが地裁、そこには触れずに明らかに知っているのであればきちんと説明しなさい、かつ買受仲介業者に任せずに自分で説明しなさいと業者にとっては酷ともいえる判断をしているのが高裁になります。

 重要事項に該当する事実は、仮に買受仲介業者がいたとしても売却仲介業者が直接、買主に説明するのが無難ですねというのが事例3の結論になります。

 それではすでに申し込みを打ち切っております12月のセミナーで取り上げる相続法の改正の内容について次回以降、書いてみようと思います。


2018/11/02

宅建業者向けセミナー(2018.10.24)の第2講座の補足その2

浜田です。引き続き第2講座で取り上げた事例の補足等です。

ここでは事例2について取り上げます。

事例2「仲介業者Xは、買主Y2に対し、売主Y1所有の本件土地の建ぺい率が400%、容積率が100%であるが他に制限はなくY2が希望するどのような建物でも建築できる旨を説明し、Xの仲介によりY1とY2間の本件土地の売買契約が成立した。

その後、本件土地の道路側の擁壁に亀裂があるため擁壁を作り直すか、道路より45度の斜面の後方でなければ建物を建てることが許可されないことが判明した。 擁壁工事には約2,000〜3000万の費用がかかること、45度の斜面後方では10坪程度の建物しか建たないことが判明した。

 Y2はY1との売買契約を解除し、その後の協議交渉の結果、Y1が費用の一部を負担し、当初の代金を減額して売買契約を締結し直した。XはYら(Y1及びY2)に媒介報酬を請求した。Xの請求は通るか?その理由は?」

事例2は問題のある媒介行為と媒介報酬というテーマを説明するための事例です。

題材となっているのは東京地裁昭和57年2月22日判決、判例タイムズ482号112頁 になります。

この事例は宅地建物取引士の講習テキスト(公益財団法人 不動産流通推進センター)の224頁でも取り上げられているものです。

 しかし、そこでは「媒介業者の責任で契約解除された場合、報酬請求権は発生しない」といの結論のみしか記載されておらず、少し突っ込んで話をしてみようと思った次第です。

宅建業者の媒介報酬の発生要件として

1.仲介業者と委託者との仲介契約の締結

2.仲介業者による仲介行為の存在

 3.委託者と相手方との売買契約の成立

4.仲介業者の仲介行為と売買契約成立との間の相当因果関係 が必要とされています。

 本件では1〜3を満たすのではないかと思われます。なお3については最初の売買契約を指します。

しかし4の要件を満たすかどうかが問題です。

 売買契約の解除と媒介報酬については

.ーリングオフ(業法37条の2)の場合には前述の3及び4を欠くので報酬が発生しない。

 解除条件付き売買の場合(ローン特約条項付きの場合のローン不成立で解除条件が成就した場合)には前述の3及び4を欠くので報酬が発生しない

手付解除の場合には  基本的には報酬は発生する(既払いの報酬の返還義務はない)とされていますが、標準媒介契約約款を使っていないケースで報酬額を商法512条に基づいて算定したという事例があります(福岡高裁那覇支部 平成15年12月25日判決)

 ず通撹塒行解除の場合ですが 報酬は発生(既払いの報酬の返還義務はない)とされていて、その理由は売買契約における債務の履行は契約当事者の責任であり、媒介業者の責任ではないからとされています。

 ニ楫錣里茲Δ聞膂娉鮟の場合にも報酬発生(既払いの報酬の返還義務はない)というのが原則ですが、媒介契約は民法上の準委任契約であり、善良なる管理者の注意をもって媒介事務を処理する義務があります(民法656条、同法644条)。

本件のような調査不足、説明不足が業者にある場合には仲介業者に善管注意義務違反があり仲介行為に瑕疵があったことになります。この瑕疵が顕在化して契約が取り消しあるいは解除された場合には前述の3(売買契約の成立)が欠け、4(仲介行為と売買契約の成立の相当因果関係)もなくなり媒介報酬が請求できないと考えるというのが本件の結論になります。

事例の結論としてはXの請求は通らない、理由はXの仲介行為に瑕疵があり、それが合意解除という形で解消されたことにより契約不成立と評価される(3の要件の欠如)、また仲介行為と当初の売買契約との相当因果関係がなかったと評価される(4の要件の欠如)からというのが理由になります。

 本件のような重大な調査・説明義務違反がある場合には媒介報酬が取れないのみならず契約当事者から損害賠償請求される可能性もあり、業者が契約当事者に報酬請求することが現実的ではないと思われますが、媒介行為の瑕疵と媒介報酬の関係を考える素材としてこの事例を選択したことになります。

それでは次のブログで事例3を解説して補足説明を終えたいと思います。   続く    


2018/11/01

宅建業者向けセミナー(2018.10.24)の第2講座の内容と補足その1

 浜田です。    

 お約束通り、10月24日のセミナーの浜田担当パートの内容とその補足説明をしたいと思います。

 第2講座は「契約が終わって安心していませんか?媒介業務の本来あるべき姿を教えます」というテーマで私が担当したのですが、時間が押してしまい十分な説明が出来なかった面がありました。

 そこで何回かに分けて事例を取り上げた趣旨や補足説明をしたいと思います。  

 この講座で取り上げたのは

 1.媒介契約を交わしていないリスク

 2.問題のある媒介行為と媒介報酬

3.媒介業者の調査・説明義務違反に伴うリスク という3つのテーマです。  

 事例1−1及び事例1−2の素材ですが、東京地裁平成20年1月29日判決です。事例1−2は媒介契約書が作成されなくても媒介契約の成立およびそれに基づく報酬請求が認められた同判決の事例をベースにしたものです。  

 一方の事例1−1は事例1−2のベースになった東京地裁の判決が媒介契約成立を認定するにあたって特段の事情として拾った事実を削除したものになります。

事例1−1

「平成18年6月24日、所有者Aから中古住宅の売却仲介の委託を受けた仲介業者Xは,自社のホームページに売却物件(所有者A、売却価格3,830万円)を掲載した。Aは100万円以上の値引きはしないとXに名言していた。

 同月26日、買受希望者Yが「現地を見たい」と連絡して来たため、Xは現地案内し物件資料を提供した。同日にYが「3,600万円なら買う」と言ったがXは売主の想定外の金額だから無理だと言ったため、3700万円でなら購入するとの意向を示した。XはAを説得して同月28日、代金3,700万円でAとYの間で売買契約を成立させた。

 Yが売買契約書に署名捺印をする際、XはYに対し持参した専任媒介契約書に署名・捺印を求めたが、Yは「後で」と言って署名しなかった。

 後日、XがYに報酬請求をしたところ、Yは「Xは売主側の仲介業者でしょう?仲介を頼んだ覚えはない」と言って仲介報酬の支払いを拒んだ。XはYに対し仲介報酬を請求できるか。」

事例1−2

「Yが3700万円なら買うとXに告げた後に以下の事情があった場合はどうか?

 現地案内をした当日の帰途、Xの担当者乙はAに電話で3700万円での買受希望が出ている旨を告げてAより3700万円で売って構わないとの決済を得た。

 このことからYは乙と一緒にXの事務所に立ち寄り、Xの担当者乙がYに対し、販売価格が3700万円である不動産購入申込書を作成する必要があること、購入はXを通じての取引となるこので仲介手数料が必要であること、仲介手数料、登記費用等の諸費用概算書を交付した。

 Yは同日、不動産購入申込書(購入価格3700万円)をXに提出した。

 なお、この申込書には「私は、貴社より紹介を受けております後記表示の不動産を下記条件にて購入することを申し込みますので、貴社に交渉を依頼します。成約の際には、成約価格の3%+6万円の仲介手数料と消費税相当額を申し受けます。」との記載があった。」

 事例1−1のように契約書なし→契約不成立→報酬請求×というのが原則,事例1−2のような事例の場合には契約書なし→特段の事情あり→報酬請求○というケースもあるよという話です。  

 事例1−1と事例1−2を取り上げることでお伝えしたかったのは媒介契約書作成の重要性と契約書の作成をしていなくても媒介契約の成立を認定した事例があること、しかし契約書の作成なしに媒介契約の成立が認定されるのはハードルが高いことです。

 売却仲介の依頼を受けた業者がのちに買受側からも仲介を依頼された場合に(本来は「両手」となるべきケース)買受側から媒介契約書をとることができずに買受側に報酬請求できない(あるいは請求せずに諦めてしまう)という事例が見受けられますので、宅建業法34条の2の正確な理解と媒介契約書の役割について正確に理解していただくというのが、この事例を取り上げた理由になります。

まとめとしては

1.片手から入って相手方当事者からも仲介依頼を受けた場合にも速やかに媒介契約書を作成・交付をしてください。

2.作成・交付ができない場合にも、媒介依頼をしてきた相手方当事者に対して媒介契約書の作成の必要性の説明、報酬の説明、不動産購入申込書の作成をしてもらう等の付随事情がある場合には契約書の作成・交付がない場合にも契約の成立を認めて報酬請求を認めてケースがありますので、相手方当事者の契約書の作成に応じない場合にも最大限の努力をしてください。

というものでした。

それでは事例2以降については次のブログにてご説明いたします。 

                                               続く

(参照条文)

 宅建業法34条の2

 宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買又は交換の媒介の契約(以下この条において「媒介契約」という。)を締結したときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した書面を作成して記名押印し、依頼者にこれを交付しなければならない。


2018/10/31

宅建業者向け 媒介取得&法務セミナーを開催しました(ご報告)

 浜田です。

 去る10月24日、ホテルメリージュ2Fにて船井総合研究所と私が所属する弁護士法人みなみ総合法律事務所が共同で宅建業者向け 媒介取得&法務セミナーを開催しました。

 前半は不動産会社が媒介取得して地域一番になる方法というタイトルで船井総研の平山理陽氏が登壇し、私は後半の「契約が終わって安心してませんか?媒介業務の本来あるべき姿を教えます。」との講座の講師を担当しました。

 当日は30名以上の県内の宅建業者の方が参加され、セミナー後の懇親会にも10名以上の宅建業者の方にご参加いただき多くの業者の皆様とのつながりが持てたという意味では成功したのではないかと思います。

 参加して頂いた宅建業者の皆様、ありがとうございました。

 セミナーの中で色々と今後の課題が見つかりましたので、次回のセミナーではその課題を克服してより良い内容を参加者の皆様へご提供できるよう努力したいと思います。

 私が担当したパートについては時間不足等により十分に説明できなかった点がございましたので、このブログで何回かに分けて補充の解説を書いていこうと思います。

(続く)


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